アラン7年 プライベートカスク

ハロルド・カリー

ハロルド・カリー氏はイギリスの有名な酒造メーカーであるシーグラム社やフランスのペルノー社でマネージング・ディレクターを歴任してきた人物。ウイスキーに関する見識は大変に深い人物で、彼がスコットランド西海岸沖のアラン島北側にアラン蒸溜所を建てたのは1995年のことです。共に働く息子のアンドリュー氏はクラウドファンディングによる資金調達手段を利用し、投資者には蒸溜後5年と8年のウイスキーを優先的に受け取る権利と、一生にわたって割引価格でアランウイスキーを購入できる権利を付与したボンド(保証状)を発行し、蒸留所建設の資金集めに成功したといいます。アランといえば10年物を始めソーテルヌカスクや限定物のザ・ボシーを知っていますが、中でもマクリームーアのカスクストレングスを好んで良く飲んでいます。

今回は先月リリースされたアラン7年プライベートカスクを試飲してみます。


THE ARRAN MALT / 7YEARS PRIVATE CASK 58.7%

蒸留年2011 .7ーボトリング2019 .2

 褐色

 オレンジピール、桃、苺、ウーロン茶

 熟したフルーツの深みある味わい、じんわりと温かみのある甘味とクローブのスパイス、カカオや渋皮のニュアンス、程よい塩味があり飲み飽きない、干しブドウの甘味とオークのウッドが長い余韻となって続く。

 アラン好きにはたまらない一本。1stフィルシェリーホグスヘッド(250ℓ)で7年間以上熟成させてあり、シングルカスク・カスクストレングスのパワフルさと熟成年数以上の芳醇な味わいが楽しめる一本となっています。

1988年ファーストモルトリリースを記念して。 ユアン・マクレガー(左)ハロルド・カリー(右)

余談ですがスコットランドのアラン島といえは、昔からウイスキー造りで知られる有名な島でした。といっても密造酒造りの島としてその名を知られていました。密造でありながらも酒質は優れ、その高い品質は評判だったそうです。1824年にヘブリディーズ諸島を訪れた地質学者のジョン・マカロック氏は、「アラン島は密造酒界のブルゴーニュ」だと評価するほどでした。しかし密造酒の取り締まりが厳しくなった動きとともに、当時唯一合法であったラッグ蒸溜所が稼働停止したのを最後にこの島でのウイスキー造りは途絶えました。そして1995年、実に150年以上ぶりに島に復活したのがアラン蒸溜所でした。生涯をスコッチウイスキー業界に捧げた創業者のハロルド・カリーは、残念なことに2016年3月に91歳でこの世を去ってしまいましたが、彼の生み出した「ザ・アラン・モルト」は成長し続け、今日も世界中の人々に親しまれ愛されています。私もその一人。

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