グレンアラヒー 1967-
シングルモルトとしては殆ど出回っておらず、わずかにインデペンデント・ボトラーからのリリースがあるのみであった無名の蒸留所。そもそもグレンアラヒーはブレンデッドウイスキー「マッキンレーズ」の原酒を確保するために、スコティッシュ&ニューカッスル社が1967年に建てた蒸留所。
同蒸留所はスコットランド・アベラワー村から2キロほど南に位置し、スペイサイド地域に分類されます。“Glenallachie”は「岩の多い谷」を意味するゲール語。
グレンアラヒーはエレガントで女性的なモルトと云われ、クリーンでスムースな飲み口、デリケートで花のようなスペイサイドモルトの典型といえる酒質を持っています。2017年にこの蒸留所のオーナーとなったビリー・ウォーカー氏は「スピリッツのバランス、しっかりしたボディに魅了された。素晴らしい実力を持っているのに、ほぼ無名の道を歩んできた蒸留所だ」と言っています。
今年2018年、創業から半世紀を経てリリースされるグレンアラヒーオフィシャルボトルに今注目が集まっているようです。それは元ベンリアック蒸留所のオーナー、ビリー・ウォーカー氏がアメリカのブラウン・フォーマン社に2億8000万ポンドでベンリアックビジネスを売却後、新たにグレンアラヒー蒸留所をフランスのペルノーリカール社から買収したことに始まります。
その名も‘‘グレンアラヒーコンソシアム社‘‘といい、優れた無名の蒸留所であるグレンアラヒーをワールドスタンダードまでブランディングさせる構想だ。これから同蒸留所のたっぷりと蓄えたストックを活かし幅広い商品ラインナップを実現させる予定であるそうです。これは楽しみですね!
いくつかのリリースの中から今回は10年熟成のカスクストレングスを飲んでみたいと思います。
GLENALLACHIE 10YEAR
CASK STRENGTH BATCH1 700ml 57.1%
色は深みのあるゴールド・アンバー
香りは蜂蜜、トフィー、濃い紅茶のような深みとオークの樽香、スパイスなどを感じます。しっかりとしたアロマの中にどこか繊細な花のようなニュアンスも
味わいは柑橘系ジャムのようなさっぱりとした甘味に優しいスパイスが広がり、ハイプルーフの贅沢なボディがコクのあるバニラ、樽香となって続きます。
今回飲んだカスクストレングス・バッチ1は全世界2000ケースの限定品。バッチとは「一群・ひとまとまり」などの意味で、現行品とは違い限定リリース用にブレンドされた特別ボトルということです。カスクストレングスですのでもちろん加水もされていません。
岩の谷に佇む白壁の蒸溜所は新たな命を与えられ、ウイスキーの故郷スペイサイドでシングルモルトの蒸溜所としてゆっくりと動き出しました。ペドロヒメネスカスクやピーテッドモルトを使用したタイプなど、幅広いシリーズにも期待が集まるこれからがとても楽しみな蒸留所グレンアラヒーでした。