グレンマレイ ザ・バニラ

グレンマレイ蒸留所

GLEM MORAY (1897~)

スペイサイド・エルギン郊外にあるマレイ州はハイランド地方の中でも温暖な気候であり、大麦の主産地として知られる場所。グレンマレイはそこにあったビール工場を改造して建てられた蒸留所。業界初の白ワイン樽熟成を試みたことでも知られ、現在はフランスの大手蒸留酒メーカー「ラ・マルケニケーズ社」の傘下となっています。年間生産量は2万Lから5.7万Lへとスケールアップされ、全世界での売り上げ総計は5年で倍増、最大の英国市場の他に、米国と豪州でも大きく販売実績を伸ばしている蒸留所です。今回は日本のボトラーズからリリースされたグレンマレイ ザ・バニラを試飲します。


GLEN MORAY 2007 10YEARS / THE VANILLA 55.4%

 ゴールド

 バニラ、アーモンド、ナッツ、クリーム、レモンティー

 蜂蜜のような甘味、バニラと酸味のあるすっきりとしたフルーツフレイバーがオークウッドの中に潜み、じんわりと温かみのあるスパイスが全体を包み込む。香りとは異なるニュアンスを持ち、比較的スパイシーな印象が強かったように思いますが、少量の加水でやわらかなバランスが現れ、バニラ香も強くなるといった感じでした。最後に残るビター感も好きです。

  ファーストフィルバーボンバレル熟成から生まれる、クリームやバニラの見事な風味がしっかり感じられます。10年熟成、55.4%のカスクストレングス、シングルバレルといった何とも贅沢な仕様で、甘味のニュアンスだけでなく温かみあるスパイスの重層的なボリュームをもった満足度の高い一本だと思います。ファーストフィルバーボンバレルの熟成といってもその個性は多岐にわたり、この「ザ・バニラ」のような仕上がりは、端的に樽材から多くのバリニン成分が溶出した結果と考えられます。他の樽と混ぜることなく単一樽からのボトリングですのでその個性を失っていません。一際目を引く分かりやすいラベルデザインも良いですね。

スリーリバース(THREE RIVERS)

スリーリバースは2004年に設立した洋酒輸入会社。サザエさんの三河屋が社名の由来らしく、日本には数少ないインデペンデントボトラーズでもある。「ザ・ライフ」シリーズや「ザ・ダンス」シリーズなど、ユニークなラベルが貼られたオリジナルモルトをリリースし、ボトルコンセプトやラベルモチーフなど観点が明確であるのも人気ポイントの一つとなっている。

スリーリバースは大熊慎也氏と前野一成氏の二人によって立ち上げられた会社。彼らは想像力を刺激し探求させる「本物の酒」を探している。生産者の思いや考えに共感し時には採算抜きに仕入れを行うこともあるとか。「本物」に徹底的にこだわるそのスタイルは、現在モルトバーを中心に高い人気となっているそうですが、実際に飲んでみると確かにその理由も頷けるよに思います。他のリリースボトルも飲んでみたいと思っています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です