WOLFBURN No.128
SMALL BATCH RELEASE 46% 700ml
ウルフバーン蒸留所の熟成庫No.1の28列目にある、ハーフサイズのexバーボンバレル(100ℓ程度)30樽を選び出したことから名づけられたスモールバッチシリーズ「NO.128」は、原料にライト・ピーテッド・モルトを使用したシングルモルトです。このNO.128もとはドイツ向けに6000本ボトリングされたものですが、そのうち480本を日本向けにリリースが行われました。2019年現在リリースされているスモールバッチ・シリーズは全3種。
- WOLFBURN NO.128 46% 700ml(2017)
- WOLFBURN NO.270 46% 700ml(2018)
- WOLFBURN NO.375 46% 700ml(2019)
色 アンバー
香 奈良漬、モロミ醤油、心地よいピートスモーク、微かにヨード、潮、モルト、バニラ、湿ったオーク材
味 渋みを伴った甘味が軽めのピートとバランスよく口に広がる。諸島系モルトの個性を取り入れたような潮のテクスチャーがあり、ハイランドモルトとしては類のないキャラクターとなっている気がします。後半にかけては、優しく残る甘さが印象的でさっぱりとしています。外観や度数からイメージする程の熟成感や風味などは、まだ今一つといった感じですが、これから化けそうなポテンシャルに満ちた蒸留所だと思いました。
2013年稼働の今年で6年目を迎えるまだ新しい蒸留所ウルフバーンは元々1822年~1860年頃までこの地に実際にあった蒸留所です。同じ場所に同じ名前の蒸留所を建てたのはアンドリュー・トンプソンという実業家。スコットランド育ちのトンプソンは大学卒業後に英海軍に入り、アフガニスタンやイラクにも派遣された経験がある元軍人です。約7年を経て海軍を辞めたあとは南アフリカのケープタウンに移住し2005年に起業。その事業とは、オランダとケープタウンに大きなアンテナを保有し、光ファイバーで結び、軍事機密情報のデータを送受信する通信インフラビジネスだったそうです。トンプソン氏はその事業で蓄えた資金を元にウイスキービジネスに参入、異色の経歴を持ちながらも昔ながらの伝統的製法にこだわり、オープンソースなウイスキーづくりを開始しました。蒸留所はスコットランド本土北部にあるサーソーと町に所在し、今まで最北であったプルトニー蒸留所を抑えて、本土最北端の蒸留所となっています。
特徴としては仕込み水にスコットランドでは珍しい硬水を使用していることです、ミネラル分を多く含む硬水はウイスキーづくりにおいて不向きといわれることもあるようですが、ミネラル成分の組織によって大きく水質は異なり、カルシウムやマグネシウム、亜鉛などの成分は酵素や酵母の働きに良い影響をもたらすことも多いといいます。仕込み水の特性を把握し、適切な酒造りを実践することによって風土の魅力を最大限に引き出すことができるか、職人たちの腕の見せ所といったとこでしょうか。
今回飲んだウルフバーン・バッチ128の正確な熟成年数は不明ですが、2017年リリースということから推測すると3~4年未満のものだと思います。ファーストフィルバーボンのハーフバレルでスピード熟成がかけられたライトピーテッドタイプのシングルモルト、他の270、375も飲んでみたいですね。