野生酵母 グレンモーレンジ アルタ GLENMORANGIE 

GLENMORANGIE ALLTA 51.2%

PRIVATE EDITION  NO.10

グレンモーレンジ・プライべートエディション第10弾の「ALLTA」が3月にリリースされました。過去に飲んだことのあるものは、オリジナル(10年)とラサンタ、キンタルバン、ネクタドールなどのウッドフィニッシュもの、そしてプライベートエディション第7弾のミルションくらいだったと思います。今回購入したアルタの特徴は「酵母」、酵母と言ってもグレンモーレンジの所有する大麦畑で発見された野生酵母(Saccharomyces diaemath)のことで、この野生酵母で発酵を行ったたモルトウイスキーとなっています。

 ゴールド

 金柑、ボンタン飴、蜂蜜、ヨーグルトムース、ベイクドチーズケーキ、スペアミント、バニラ、オークウッド

 クローブやペッパー系を伴った温かみのあるモルト、柑橘系のさっぱりとしたフレイバーが全体を優しく包む、舌の奥に残る雑味とオイリーな苦味が心地よく、後にドライな味わいへと変化し、深みのモルトのテクスチャーが余韻となって続く。

アルタは個人的にも好きな一本。過去に飲んだウッドフィニッシュものは度数46%前後のものが多かった気がしますが、今回のアルタは51.2%と高く設定されています。香り・味わいにおいて野生酵母がつくり出したモロミの魅力を一番楽しめる度数設定なのでしょう。ぜひストレートで味わって見て下さい。若干の加水は大丈夫ですが、ソーダ割はお勧めしません。

「酵母」とは単細胞性の微生物菌類で、糖分をアルコールへ転化する能力を持っています。基本的には純粋培養されバクテリアや野生酵母などに汚染されないように保存されたものが一般的な酵母(イースト)です。

醸造工程において使用される酵母菌は「サッカロミセス属」が主であり、アルコール、有機酸、香味成分、炭酸ガスなどを細胞外に放出し、醸造物(モロミ)に風味を与えます。最近ではサッカロミセス属におけるウイスキーやビール、ワイン用の酵母はまとめて「サッカロミセス・セレビシエ」に統一されており、この種は人間の食生活と強く関係を持っている酵母菌といえます。

「野生酵母」とは自然界に多数存在するワイルド・イーストと呼ばれる酵母で、よく天然酵母とか蔵付き酵母とかいわれるものと同じ類のものです。ウイスキーの醸造工程において野生酵母は発酵特性が分からず不安定で、雑味も出やすく毎回良し悪しが大きく変化してしまう曲者です。それは純粋培養酵母には出せない特徴的な風味をもった良いモルトになるか、または雑味が多く粗悪なモルトになるかギャンブルのようなもの。しかしさすがのグレンモーレンジ「樽のパイオニア」と呼ばれるビル・ラムズデン博士はこの野生酵母の役割に注目し、長年の研究の結果、野生酵母の弱点を克服した発酵技術へと至ります。アルタはこうしてつくられました。味わう価値のある一本だと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です