スプリングバンク 17年 マディラウッド

バーボンとラムの樽で14年。マディラ樽で3年のウッドフィニッシュ。計17年のどこかミステリーな樽構成。

スコッチの歴史を紐解いていくと何かとよく出てくるのが「買収劇」、次から次へと新たな所有者に翻弄されていく蒸溜所の歴史が見えてきます。時の荒波を超えて今も変わらず稼働し続ける蒸溜所があるからこそ飲み手はその幸福を味わう事ができるのです。

1828年に設立されて以来、買収劇とは無縁に同じ家族の手の中にあり続けた珍しい蒸溜所があります。スプリングバンク蒸溜所です。(現在の会長へドリーライトは創設者ジョン・ミッチェルのひ孫です)

このキャンベルタウンを代表するスプリングバンクは過去に稼動停止・一時閉鎖など、幾度もの困難を家族で乗り越え、2世紀という時を積み重ねてきたすごい蒸溜所。シングルモルトの原料である大麦を発芽させるフロアモルティングから蒸留・樽詰めそしてボトリングまでのウイスキー製造プロセスを全て実行する蒸溜所でもあります。原料は製麦会社から購入するのが主流の今、自社でわざわざ製麦することは合理的ではないようにも思われますが、重労働なモルティングを守り続けることでのみ生み出すことのできるオリジナルフレーバーがあるのだと僕は思います。

スプリングバンクのように伝統的なウイスキー製造スタイルを継続しているところは現存するスコッチ蒸溜所の中でも極めて稀少であり、アイラの農場型蒸溜所キルホーマンやテロワールを重んじるブルイックラディなど少し異なりますが同系として思い当たります。もちろんその他のメーカーも独自の製造プロセスを実行していますが、全工程が一貫して自社で行われているわけではないのが現状です。

幸運にも手に入れることができたこのスプリングバンク。というのもオフィシャル10年もウイスキーブームで高騰し、なかなか手がでくなっていましたからラッキーでした。「モルトの香水」とも謳われる人気の高いスコッチですから今回のマディラウッドも即完売したもようです。世界9,200本で日本へは600本のみだったとか。


SPRINGBANK 17YEARS.

MADEIRA WOOD 47.8%

1stフィルのバーボンとラム樽で14年の熟成後、ホグスヘッドのマディラ樽で3年の追熟が施された計17年のスプリングバンク。蒸留2002年11月 瓶詰2020年10月 

 甘いナッツ、フルーツティー、アプリコット、梅ジャム、潮風、干し草、ワックス、灰

 塩見を帯びたクリーム、キャラメル、ライム、繊細な煙ニュアンス、アプリコットジャム、ジンジャースパイス

 17年の熟成にしては比較的安く価格設定されていることで、僕の勝手な疑問ですが3つの樽からなる複合技をしなくてはならなくなった理由があるのでは?と、海外のレビューにも蒸溜所の実験的な試みで、あくまで担当者が楽しむためのものだったとか、最初の14年熟成が良い出来ではなかったためマディラで化粧したとかそういったコメントもありました。しかしこのボトルはスプリングバンクのポテンシャルと3種樽の見事なコラボだと飲めば納得します。終わり良ければ全て良しの満足いく味わいでした。こういう一本にまた出会いたい!

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