ノッカンドゥ 15年と21年

KNOCKANDO蒸留所はスコットランド・スペイサイド・スペイ川中流にあるノッカンドゥ村にあります。近くにはタムデューやカーデュー蒸留所などもあり、ノッカンドゥとは「小さな黒い丘」の意味している。創業は1898年とそこそこ古く、主にブレンデッドウイスキーの原酒提供を行ってきた歴史があり、シングルモルトのリリースは1979年になってから。(ブレンデッドの有名銘柄ではJ&Bなどがある)一般的にあまり日本では知られていませんがフランスやスペインでは人気があり、ウイスキー愛好家からは高い評価を受けている銘柄です。同じ蒸留年のものだけをボトルに詰めた「ビンテージウイスキー」をリリースする蒸留所としても知られ、通好みのシングルモルトといった印象があります。日本でももっと評価されるべき蒸留所といったマニアからの声もあるようで、知る人ぞ知る隠れたモルトという存在感があります。今回は15年と21年をそれぞれ試飲します。どちらも原酒構成はバーボン9割・シェリー1割のヴァッティングです。


KNOCKANDO


KNOCKANDO 1999 15YEARS 43%  Richly Matured

 アンバー

 シュガーナッツ、ビターチョコ、ラングドシャ、バニラクリーム、レーズン、微かなピートのニュアンス

 スイートでスパイシー、なめらかな口当たりに優しい酸味とほろ苦さ、樽香と微かなピートニュアンスが全体をまとめ、ナッツを思わせる風味と絶妙な油分が心地よくのびる。思わず次の一杯を継ぎ足したくなるループ系モルト。熟成感も程よくあり、中盤からフィニッシュにかけて長い余韻が楽しめるミドルボディかつ軽快な一本。


KNOCKANDO 1994 21YEARS 43% Master Reserve

 ダークアンバー

 ナッツ、トフィー、キャラメル、レーズン、カスタードクリーム、微かなピートのニュアンス

 シュガーナッツの甘味とフルーツの皮のような苦味の絶妙な重なり、微かなピートニュアンスがクリーミーな麦芽とシェリー由来のドライフルーツを引き立てる。中盤からナッツとスパイスそして麦芽感が一体となって長い余韻となって続く。厚みのある味わいに豊かで複雑な熟成感が楽しめる。

感 コクと旨味の味わい深いシングルモルト。ビンテージウイスキーらしいまとまりのある味わい、ひとまとめに癖というのは勿体無い、奥行きのある複雑さと熟成がもたらす芳醇な余韻に浸れる秀逸なモルトだと思います。最近はハイランドやスペイサイドのモルトを好んで飲んでいますが、まだまだ知らない奥深い風味や熟成感に出会えて楽しいです。先述したようにノッカンドゥは日本ではあまり有名な蒸留所といった印象は受けませんが、コアな愛好家からは評価されることの多い蒸留所です。その特徴はなんと言っても同じ蒸留年のモルトのみをヴァッティングし瓶詰めするビンテージウイスキーにあります。未熟な原酒を使用しないため商売的には不利と言えますが、その頑固なスタイルに魅力を感じずにはいられません。特に21年の中盤からの余韻がたまらなく好きです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です