ピート
「おーすごい!この鼻に抜けるこの香り…なるほどスモーキーってこういうことか」
「どう?」
「うん、俺こういうの意外と好きかも?美味い!」
「美味いでしょ!慣れるともっと好きになるよ」
「でも、なんでこんな風味になるの?」
「ああ、それはピート」
「ピート?」
「そうピートのせい、いや、お陰って言ったほうが良いのかな。」
大地が香るウイスキー
シングルモルトウイスキー作りでは、大麦麦芽(モルト)を乾燥させる工程があります。それはピートを使用して麦芽を燻し、燻香をつける工程でもあります。ピートとは可燃性のある泥状の炭であり、かつてスコットランドの民家では木炭や石炭の変わりにピート(泥炭)を切り出し、乾燥させたものを、燃料として利用してきました。湿原に層を成すピートは長い歳月をかけて生成され、15cmの層ができるまで、1000年もかかるといわれています。このピートを使った燻煙により独特のフレーバーが付加されるのです。私もこのタイプのウイスキーは好きでよく飲みます。飲み慣れてくると癖になるんです、とても美味しくて味わい深い時間を与えてくれます。好き嫌いの個人差はあると思いますが、蒸留所によって異なる香りの強弱や風味を飲み比べてみるのも楽しいと思います。
そもそも麦芽はなぜ乾燥させるのでしょうか?
About whiskyページでも紹介しましたが、大麦に水を含ませ発芽させると、酵素の働きによってデンプンが糖へと変化し蓄えられていきます。そして成長に必要な糖が十分に麦芽内に蓄えられた時、乾燥させ成長を止めてしまいます。それは発芽による成長が進み過ぎることで、糖が逆に失われてしまうのを防ぐためです。糖がたっぷりと蓄えられた麦芽は、ウイスキーの原料となるので、乾燥はとても大切な作業のひとつといえます。ピートで燻され乾燥したモルト、後の発酵や蒸留工程を得て樽熟成され、商品としてボトリングされるまで、この薫香が維持されているというの、もなんだかすごいですね!
島のピートと大陸のピート
ピートは切り出される場所や深さによって異なる特徴を持ち、他のお酒にはない独特の風味をウイスキーに与えます。例えばスコットランドのアイラ島のように、島を覆うピートは海藻を含んでいるため、潮や磯の香りがウイスキーにもたらされるのです。それは、植物がどのような場所・条件で累積してできたピートかによって、付加されるフレーバーが異なってくるということです。重厚でスモーキーなアイラモルトが世界中で愛されているのは、この島のピートのお陰ともいえるでしょう。
まだピーティーなタイプのウイスキーを飲んだことのない方や、これから始めたい興味のある方は、住んでいる町のBARでバーテンダーさんのお勧めからスタートしてみるのも良いかもしれません。飲み方は先ずはハイボールか水割りでいいと思います。そしてお気に入りの一本と出会えた後に、ご購入をお考えください。