Scotchtrip_Glagow

Edinburgh

正午のバスまで少々時間があったので、朝から再びロイヤルマイルへ向かった。ウェイバリー駅南に位置するアンカークローズを抜け東のホリールード宮殿まで歩く。そこから南にはアーサーズ・シートの丘があり、目を凝らすと数人のハイカーが登っているのが見えた。あそこから見える景色はヤバそうだ。ホリールード宮殿からエディンバラ城までは緩やかな坂が続いていて観光客に交じって仕事へ向かう人々が足早に行き来している。いたるところにある落書きが何故か街に馴染んで見える不思議。一人乗りの小さな道路清掃車がゆっくりと坂を下って行った。昨日行ったウイスキーショップはまだ閉まっている。近くのコスタコーヒーでトマトバジルのホットサンドとカプチーノをオーダーし待ってみる。酒屋のウェブサイトを発見し調べるも営業時間は見つけられなかった。それも昨日「ハイコースト63」というスウェディッシュモルトをその酒屋で見つけたからだ。スコットランドへ来てスウェディッシュウイスキーを買うのもどうかと思いためらった末に買わなかったことを後悔してる。スコットランドのウイスキーショップで売られていたスコッチは、ほぼほぼ日本でも購入できるといった感じだったが、ハイコースト63はおそらくここでしか手に入らないものだろう。カフェを出てエディンバラ城まで歩き昼前にもう一度行ってみるもやはり店はやっていなかった。残念だが諦める。時間が迫って来たのでホテルへ戻り荷物をまとめエディンバラ・エルダーストリートにあるバスセンターへ。グラスゴー・ブキャナンバスセンターまでは約1時間30分。まだまだゆっくりしたかったエディンバラに別れを告げる。

Edinburgh

グラスゴーに着くとその足でクライドサイド蒸留所へ。グラスゴーはエディンバラはとはまた違う都会的な雰囲気があった。途中スタバに寄り休憩をとった後に、スマホで地図を見ながらクライド川付近まで出る。国道と思われる大きな通りに出て歩道橋を渡るとすぐのところにクライドサイドはあった。真新しい石の塔には大きな時計が備え付けてあり、奥にはガラス張りの蒸留室が見える。受付を済ませると蒸留所内にあるカフェで昼食のサンドイッチをオーダーした。奥の席には蒸留所のオーナーがいた。ここではチョコレート&ウイスキーツアーを予約していたので楽しみだ。ビジターセンターを見てみると売られていたのは他の蒸留所のシングルモルトだけだった。オープンして間もないクライドサイド蒸留所はまだ自分たちの商品がリリースされていないためその処置としてのことなのだろうと推測する。聞くと200mlのニューポットは購入できるようだ。時間になると若い男性スタッフがグラスゴーの近代化についての流れと、この町が造船業で栄えた歴史を映像と共に紹介し、ブレンデッドウイスキーの都と言われるグラスゴーにおけるスコッチ業界の繁栄をスライドや動画で見ることもできた。シングルモルト製造の説明ではピーテッドモルトとノンピーテッドのモルトを比べてみたり、熟成に日本の樽が使用されていることも分かった。糖化槽や発酵槽も覗くことができ、自分を合わせて5名の見学者はそこからポットスチルのある蒸留室へと案内された。ウイ研が発行するウイスキーガロアで見たガラス張りの蒸留室だ。稼働中のポットスチルから熱が伝わってきた。中央に置かれたスピリッツセイフから流れ出る無色透明の蒸留液はこれから樽に詰められ永い眠りにつくこととなる。人間ができることはここまで。想像し、そして待つ。ウイスキーの魅力とはそこにある自然力と時間に頼らざるを得ないことなのかもしれない。一通り見学を終えると別のフロアに案内された。そこはガラス越しにクライド川が一望できるテイスティングルームで、ウイスキー5種とそれに合うチョコレート5種をいただく。トマーティン12、ボウモア18、タリスカーストーム、ラフロイグ10、マッカラン12だったと思う。相性のいいチョコレートの説明を聞きながら一つ一つ口へ運ぶ。中でも衝撃を受けたのはカカオパウダーがまぶしてあるビターチョコとボウモアのペアリングだった。これいい!帰ったら同じようにやってみよう。他にも柚子や桃などのクリームが入ったチョコがあり収穫の多い時間となった。ビジターセンターの受付カウンターへ戻り人数分にカットされたドーナツとニューポットを試飲してツアーは終了。驚くほど柔らかくフルーティーな味だった。静岡蒸留所で飲んだ味に少し近かったと思った。ここでは5杯のウイスキーとニューポット1杯、計6杯飲んだ。満足である。午後5時30分頃にクライドサイドを後にし、グラスゴー中心街へと向かう。とりあえず水も買おう。

CLYDESIDE / Glasgow
CLYDESIDE
CLYDESIDE
CLYDESIDE
CLYDESIDE

ほろ酔いでスーツケースを引きながら長い上り坂を歩く。辛い。心臓がバクバクいっている。40分ほど歩いただろうかジョージスクエアに出た。その先には予約したZホテルがある。チェックインを終え4階の部屋へ向かった。お!いい部屋じゃん。でもやっぱコーヒーはネスカフェなのね。笑 コンセントに英国タイプの変換器を差し込みそこからタコ足充電する。とりあえずシャワーを浴び、食事する場所を探した。いろいろと悩んだ挙句ニッポンキッチンという店があってそこへ行き、醤油ラーメンをオーダーした。今思うと出汁に飢えていたんだろう。トッピングのところにポークと書いてあったのでそれも付けた。待ってる間見てたメニューは日本人が普段食べている感じのものとは微妙に違う組み合わせや盛り付けなどがあって興味深かった。運ばれてきた醤油ラーメンは大盛サイズ!分厚いチャーシューに半熟卵も入っている。いただきます!

Z HOTEL
Nippon kitchen / Glasgow

さて飲みに行こう。会計を済ませて店を後にする。不思議な甘味の出汁だったな、せめてもう少しスープ熱かったらな。まあでもチャーシューは美味かった、玉子も。麺は伸びてたけどな。一人つぶやきながらザ・ポットスチルへ向かう。道を曲がったところでふと立ち止まる。石の歩道に座り込み紙コップを自分の前に置いている人がいた。まただ。スコットランドでは駅や店の前などでちょくちょく見かけるこの光景。ホームレスというよりはツーリストっぽい。ほろ酔いついでに話しかけてみる。すると彼はこの先のホテルに泊まるためには3ポンド足りないんだと教えてくれた。あそう。周りを見渡しながらポケットを探ると1ポンドと15ペンスが出てきた。差し出された紙コップに入れると「シェイシェイ」と彼は礼を言った。…まあいいや。ザ・ポットスチルはほぼ満席で賑やかなモルトバーだった。一瞬だが楽しく歓談している全てのお客の目が自分に集まった。確かに今ここにいるアジア人は俺だけだ。カウンターでギネスのハーフパイントをオーダーした。スムースでコクのある味わいに喉を鳴らす。約300のウイスキーが所狭しと置かれ、オーダーによっては梯子を使って上段からボトルを持ってくるバーマン。5ポンド以上でないとカードは使えないルール。お客のモルト好き感。さりげなくもすかしたような挨拶。入店して5分。この店が気に入った。続いてグレンゴイン10年を頼んだ。ミネラリーでスパイシーな味わいに驚く。繊細な風味だがこの国に来てこういうタイプこそよく飲んだ気がする。スコッチの歴史はアイラだけではない。ハイランドモルトがじわじわと気になって来た。いままでは味の濃いパワフルなモルトを好んで飲んできたけどそれは例えるなら「炊き込みご飯」のようなもので、シンプルな「塩おにぎり」をグレンゴインからは感じた。樽熟感と複雑なスパイスが優しくも厚みのある余韻を生み出している。ブラッドノック・オーへントッシャンやグレンキンチーも改めて飲むと違った印象だった。まだまだ奥深いスコッチの新たな扉。カスクやバレル、創業年に熟成期間。隣の客とバーテンの会話が聞こえてくる。酔いもまあまあだったので髭のバーテンに礼を言いホテルへ戻る。帰り道さっきの彼がまだそこに座っていた。賑やかなブキャナンストリートを横切ると目印にしていたピンクの垂れ幕が見えた。明日は研修最終日だ。

The Potstill
The Potstill
The Potstill

朝起きてシャワーを浴びグラスゴークイーンストリート駅方面へ。そこからブキャナンストリートを南へと歩いた。グラスゴーのメインストリートだけあって職場へ向かう人達が多い。スコットランド銀行を過ぎたあたりで人通りは少なくなり、先にあったカフェネロで朝食をとる。いい加減パン食には飽き、和食が恋しくなっている。帰ったら駅前のラーメン屋でもうどん屋でもどこでもいいので入ろうと考えながらグラスゴー現代美術館に着いた。古代ギリシア風建築のGallery of Modern Art (GOMA)は、前にあるウェリントン伯爵の銅像に道路工事用のパイロンが被せてあるユニークな美術館だ。入場料無料で中に入ってみると屋根まで吹き抜けの綺麗なホールとなっていた。その日は4階まで見て回ることができたがモダンアートが何なのか知りもしない自分にはどこか殺風景で異様な空間にしか見えない。それなりには楽しんだが。特に2階には黒人さんの大きな男性ヌード写真がいくつか展示されており、それなりにじっくり見てはみたが周りの目も気になってやめました笑。地下は図書館になっていて、そこにあったウイスキー関連の写真集をいくつか見ることができた。次にジョージスクエアの南交差点付近にあるスコティッシュパブ「The Drouthy’s」でフィッシュ&チップスとスコティッシュエールをオーダーし少し早い昼食をとった。本場のF&Cはさすがに美味い!ほんのりフルーティーなエールビールとの相性も抜群。胃もたれ覚悟でかぶりついた。1時間ほどそこでくつろぎジョージスクエアを東へ1ブロック歩いたところにあるTHE PIPER BARへ。店内は広くビールやウイスキーメニューも豊富でランチやディナーもできる。ここでは毎夜ライブもやってるようだ。感じのいい女性バーテンダーにタムデュ―10年とグラスゴー1770ピーテッドを進めてもらった。少しだけアイスクリームが欲しくなり頼んでみると、チョコアイス3玉と生クリームにチョコソースがけの食べきれないサイズがテーブルにやってきて参った。笑 勧めてもらったグラスゴー1770はソフトな口当たりにドライフルーツと香ばしいピートがバランスよくとても気に入った。調べてみると日本でも買えそうだ。店を出て一旦ホテルに戻り休む。明日は朝9時のフライトだったので簡単に荷物をまとめ、first busアプリからグラスゴー国際空港行きのバスチケットを購入。あっという間の7日間だった。陽が落ちる前にホテルを出てThe Drum&Monkeyへ向かった。帰国後はすぐ仕事なので飲み過ぎない程度に楽しもう。

Buchanan St / Glasgow
George Square
GOMA
GOMA
The Drouthy’s
THE PIPER BAR
The Drum&Monkey

帰国後日本ではコロナウイルスにおける自粛要請が強くなっており、学校は今のところ無期限の休校、そして企業でも複数人での集まりを禁止するなど想像もしていなかった事態になっていました。そしてすぐイタリアを中心にヨーロッパでも感染拡大が起こり入国制限や休業する店舗も続出。世界規模で歴史に残る惨事となってしまった。後々になって自分は運が良かったと実感しました。一日でも早くコロナウイルスの猛威が落ち着つくことを祈っています。

最後に、ざっくりした説明の拙い文章ばかりで読んでくれている人には本当に申し訳ないと思っています。限られた時間ではあったものの今回の研修旅行ではアイラ島、エディンバラ、グラスゴーを歩き、蒸留所ツアーやウイスキーショップ、スコティッシュパブなどをこの目で、舌で、そして鼻で(笑)感じることができました。私にとって収穫の多い充実した時間となりとても満足しています。スコッチウイスキーはもちろんですがスコットランドという国・人に興味が生まれた旅行でもありました。またこの地を踏める日を楽しみに頑張りたいと思います。ありがとうございました。

Slainte mhor!

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