前から気になってたこのボトル。これはいわゆる「ティースプーンモルト」と呼ばれるタイプのウイスキー。ティースプーンモルトとは、ボトラーズからのリリースがほぼ皆無という人気蒸留所のブランド名(蒸留所名)を契約上使用しないための措置として、ごくわずかに他蒸留所の原酒(0.01%)を混ぜボトリングしたブレンデッドモルトのこと。99.99%と比率的にもほぼ単体の原酒といえます。
このカロデン、中身は99.99%グレンモーレンジだそうです。グレンモーレンジといえば首長のポットスチルで知られる超老舗のスコッチ蒸留所。樽のパイオニアと呼ばれるほど熟成に関して深い知識・経験を持ち、近年では野生酵母などアルコール発酵には不可欠な酵母の研究も進めている人気蒸留所です。オフィシャルリリースは10年のオリジナルをはじめ、ウッドフィニッシュシリーズのラサンタ、キンタルバン、ネクタドールなどがあり、どれも個性的で美味い。そんなグレンモーレンジの原酒が贅沢にも60度超えでボトリングされたのがボトラーズ・キングスバリー社からリリースされた「カロデン」です。個人的にもモーレンの濃いやつ飲んでみたかったんです。
KINGSBURY CULLODEN 2004
15YEARS 62.7%
色 コッパーよりのゴールド
香 パンケーキ、カスタ―ドクリーム、フルーツグミ、ミントのせバニラアイス、プラバルーン
味 濃厚なモルトの旨味・甘味、濃縮感のあるフルーティーさとキレのあるスパイス。豊かな熟成感とハイプルーフの満足いくボリューム、芳醇で暖かみのある余韻が長く続く。蜂蜜紅茶のような後味。
感 美味い。モーレンのカスクは想像していたよりもスパイシーで、ただ甘ったるいだけのシングルモルトとは違う大人テイスト。ティースプーンモルトだけあって0.01%の方は何かという疑問はありますが、まあこの際ほっときます。重層的な味わい、ピリッと鼻に抜けるスパイス、ストレートでゆっくりと舐めるには最高のボトル。開封後一週間ほどで、甘くクリーミーなニュアンスがよりクリアになり(強まって)、スパイスとのメリハリがさらに生まれたような気がします。飲めてよかった一本です。