コロネル E.H テイラーjr スモールバッチ

「現代バーボン産業の父」と称される男。

COLONEL E.H. TAYLOR

SMALL BATCH 750ml 50%

備考 コロネル E.H テイラーはバッファロートレース蒸留所が2012年に発売を開始したバーボン。蒸留所の発展に大きく寄与したコロネル・エドムンド・ヘインズ・テイラー・ジュニア氏の名前を関したプレミアムシリーズ。

 熟したリンゴ、ビターキャラメル、ハーブティー、バニラ、甘系の煙草、黒糖飴、スポンジケーキ、静かなオーク

 タンニンが程よく効いた甘味と穏やかな樽香が最初の印象。口当たりは思ったより優しい。チェリーを思わせるフルーツ系フレイバーが心地よくすっきりと全体をまとめ、暖かみのあるジンジャースパイスが中盤から余韻までじんわりと伸びてゆく。レギュレーション故か、どのバーボンにも一貫して感じられる真新しいホワイトオークの主張は控えめで、逆に華やかで深みのある穀物の芳醇さが前に出ているといった感じ。バランスも非常によく、スモールバッチという名に相応しい原酒構成ではないだろうか。バーボンがまたひとつ好きになった。ゆっくりと時間をかけて味わいたい上質な一本だ。


アメリカ南北戦争(1861‐1865)で軍の大佐(コロネル)であった同氏は、1869年にバッファロートレース蒸留所の前身である工場(O.F.C)を購入。蒸留技術や倉庫での樽の管理方法など、日々研究を重ね蒸留所の近代化を図った。(現在のバッファロートレース蒸留所)16年間フランクフォート市長も務め、バーボンの粗悪品を無くすための「ボトルド・イン・ボンド法」を推し進めた人物。


アメリカ独立戦争(1775-1783)の後、国の負債を賄うためにジョージ・ワシントン政権で導入したウイスキー税。これに反発した農民・蒸留家達はペンシルバニア州西部で反乱を起こし暴動にまで発展。嫌われたウィスキー税はほとんど法的強制力を持たず、結果として税金を集めることに成功しないまま撤廃となる。アメリカでは1817年~1862年までの45年間、ウイスキーへの課税は無かったという。19世紀末になるとバーボン人気はさらに高まり、その中で悪質な業者も多く現れた。(着色、未熟性のものや水で薄められたものが販売された。)

その事態への対策として制定されたのがボトルド・イン・ボンド(1897年‐)だ。これはバーボン製法に一定の基準を設け、次の4つの条件を満たすことで政府公認の正規バーボンとして安全性を保障したもの。「熟成期間は4年以上」、「アルコール度数50%でボトリング」、「シングルディスティラリー(一つの蒸留所)」「シングルシーズン(一つの季節の収穫・蒸留)」この基準を満たしたバーボンにはBOTTLED IN BONDと表記された。BONDとはアメリカ政府管理の保税庫のことで、分かりやすく言えば蒸留所の熟成庫へ、政府がアクセスでき管理・監視すること。品質を保証し、税制上の優遇措置を行うといったものだ。ボトルド・イン・ボンド法は1920年まで続きその後廃止。アメリカは禁酒法時代へと突入していく。バーボン製法における新しいレギュレーションはこの禁酒法が解除された1934年に再定義され、1948年に現行法の元となるものへと改正された。

ボトルド・イン・ボンド法には、アメリカンホワイトオークの新樽を使用する設定がなく、その当時は今でいうファーストフィルやセカンドフィル樽が利用されていたのかは疑問である。

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