ウイスキーをストレートで
ウィスキーの楽しみ方にはロック・ストレート・水割り・ハイボールなどがあり、それぞれ違った味わいがありますよね。
ストレートで味わうグラスには「テイスティンググラス」や「ノージンググラス」などと呼ばれるものを使い、ウイスキーの大切な香りを閉じ込めノージング(嗅ぐこと)しやすい設計になっているのが特徴です。
用途に合わせ、こだわって造られたグラスは洗練されたデザインや質感だけでなく、飲み心地そして味わいまで驚くほど変えてしまうのです。(個人差はありますが)
高さ・形もメーカーによってさまざまですが、口先が細くすぼまった形状で香りを閉じ込めるように作られている共通点があり、鼻先にグラスを近づけやすいように脚の短いデザインになっているものが基本のようです。
今回はストレートの香り・味わいを最大限に楽しむための魅力的なグラスを3つご紹介します。楽しいデイリードラムは自分だけのテイスティンググラスで。
RONA
RONA/ロナ バレンカ パレンカ 6oz モルトウィスキー
RONA(ロナ)はスロバキアのガラスメーカーで、職人によるハンドメイドはヨーロッパ随一の技術を持っていると云われています。カリクリスタルという透明度の高いガラスを使用し、わずか1㎜という厚みで作られています。
厚みが薄いことで唇に当たる際のグラスの存在感が少なくなり、液体の感触がより現れることで口当たりが良くなると言われています。以前、木村硝子店さんの「極うすグラス」というグラスでビールを飲んだことがありますがジョッキとはまるで違い、滑らかな泡の存在感・口当たりに驚きました。(特にビールは違いが分かりやすい飲み物だと思います)
グラスの膨らみによって多くの空気に触れたウイスキーは香りを放ち、時の術が与えた芳醇なアロマを最大限に愉しむことができます。
このパレンカシリーズはマシンメイドの製品なのでコスパも良くお求めやすいお勧めのグラスだと思います。
RONA/ロナ バレンカ パレンカ 6oz モルトウィスキー
木村硝子
木村硝子店は創業時(1910年)よりプロが使うテーブルウェアの分野で、工場を持たないメーカーとして長い歴史を刻み続けています。ハンドメイドのものが主流となっていて独自の発想で生み出すグラスデザインに定評があり、国内外の様々な工場で製造しています。バーやレストラン、割烹など様々な業界に向けてグラスを作り続けている日本の老舗メーカーです。
このウイスキーテイスティンググラスは少し大きいように思われるかもしれませんが、実際に使ってみると丁度良いサイズ感で私のお気に入りの一つでもあります。別売りでガラスの蓋もあります。
飽きのこない洗練されたシルエット、細く長く作られた脚は持ちやすくグラスの重量感も程よくあります。ゆっくりグラスを傾けるとすーっと滑らかに口へと入り、香り・味わいともにしっかりと楽しめるお勧めのグラスだと思います。
RIEDEL
オーストリアで11代にわたり260年以上家族経営を続けるリーデル。ワインの個性や造り手の想いまでも忠実に再現するグラスとして、ワイン生産者や愛好家から絶大な信頼が寄せられる老舗グラスメーカーです。ヴィノムはワインのアロマやコニャックの滑らかな舌触りを堪能するために作られたマシンメイドのグラスシリーズ。
このヴィノム・コニャックは飲み物の流れをコントロールするように設計された口径部が、アルコールの甘味を引き立てて全体の印象を和らげる役割をしています。コニャックと同様アルコール度数も高く香りを楽しむモルトウイスキーにももってこいのグラスだと思います。
飲み物の個性を最大限に引き出すように設計された「ヴィノムシリーズ」ですが職人たちの手によって一本一本ハンドメイドされた「ソムリエシリーズ」もありそれはリーデル社の最も高級なシリーズとなっています。ソムリエシリーズのほうがグラスの厚みが薄く、口からグラスが離れる際の感覚の違いにより液体そのものの味をより集中して堪能することができるといいます。
最後までお付き合いありがとうございました。私にとって「何をどう飲むか」は面白さに満ちた選択です。ウイスキーを楽しむには学習すること、町のバーでさりげなく棚に飾られたウイスキーも元をたどれば大自然の中で働く農夫や蒸留所の職人たちが一生懸命つくるとこからはじまります。刈り取られた大麦が琥珀色のモルトウイスキーに育つまでの「魔法」をどこまで知っているかで味わいは変わってくるように、容器としてだけではなく、香りや味わいを引き出すグラスも大切なアイテムの一つだと思います。