グレンオード
グレンオード蒸留所は、ブラックアイル半島の付け根にある「ミュア・オブ・オード」と呼ばれる町にあり、スコットランド・インヴァネス西北に位置しています。ここは「フェリントッシュ」というスコットランド最古のウイスキーが造られた有名な地域でもあります。ブラックアイル半島は、大麦の主産地であり、家畜や農産物が集まる市場町でもありました。
1838年に創業したグレンオード蒸留所は、伝統的な石炭直火炊きの蒸留方法ではなく、コスパの優れた蒸気による間接加熱方式の実証実験を初めて行った蒸留所であります。(現在ではこの間接加熱方式が他の蒸留所でも主流となっています)ドラム式モルティングを採用したのもここが初めてということで、実験的な試みの多い蒸留所であるとともに、蒸留所に併設している巨大な製麦工場からは、多くの麦芽が他の蒸留所へと供給されているそうです。
このボトルを見ると「ザ・シングルトン オブ グレンオード」と記されています。グレンオード蒸留所のウイスキーであることは分かりますが、シングルトンとはどんな意味なのでしょうか?
オスロスク蒸留所
スコットランド・スペイサイド(ハイランド)に、1974年に設立された「オスロクス蒸留所」があります。20世紀後半に建てられたまだ歴史の浅い蒸留所で、このオスロスク蒸留所の特徴は「ドリーの井戸」と呼ばれる泉の水を仕込み水として使用していること。花崗岩(かこうがん)と砂岩の間からにじみ出るこの水は、ウイスキーづくりには極めて理想的な軟水だといいます。
この水で仕込まれるオスロスク蒸留所のウイスキーは、スペイサイドの魅力をすべて兼ね備えたような豊かなスイート香があります。カラメルやシェリーの上品なアロマに、まろやかなコクがあり甘い洋菓子のような味わい、フィニッシュにかけては心地よいスパイシーな刺激が長く残ります。国際ワイン&スピリッツ大会やそのほかの品評会でも数々の賞を受賞するなど、実力ある蒸留所としての名声を勝ち得ました。
でもなぜこの蒸留所がシングルトンと関係しているのか?それは同じ蒸留所だからです。分かりやすく言うと、オスロスク(Auchroisk)という発音はスコットランド人以外には発音しにくいということから、誰でも発音でき、親しみを持ってもらえるようにと銘柄名をシングルトン(Singleton)としたのです。蒸留所名はオスロスク、銘柄名はシングルトンということです。
ディアジオ
でも一つのボトルに二つの名が記されている事情を解くカギはこれらの蒸留所を所有する「ディアジオ」という会社にあります。ディアジオ社は1997年に親会社であるグランド・メトロポリタン・グループとギネス・グループが合併し誕生し、アルコール飲料メーカーとして世界最大手となった会社。ディアジオ社は多くのブランド・子会社を保有していて、ギネス社の黒ビールはもちろんハープなどのビール、ジョニ―・ウォーカー、ベルズ、J&Bなどウイスキーブランドも多く、スミノフウォツカ、ギルビーズ、ゴードンズジンや、ベイリーズリキュールなど多岐にわたります。日本ではサッポロビールとビール販売を提携していましたが、2009年に提携を打ち切り、新たにキリンビールと「合弁会社キリン・ディアジオ」を設立しました。
このディアジオ社は「グレンオード蒸留所」・「オスロスク蒸留所」のほかに「グレンダラン蒸留所」・「ダフタウン蒸留所」なども所有していてオスロスク蒸留所の”シングルトン”という名称を、他の3つの蒸留所が造るシングルモルトにも与え、シングルトンシリーズとしてアジア・アメリカ・ヨーロッパと市場を分けて販売されるという戦略がとられています。
中でもアジア向けに販売される、ザ・シングルトン オブ グレンオードは非常にバランスのとれた美味しいウイスキーだと思います。私と言えば、過去にリリースされた「ヒドゥン・モルト グレンオード12年」を飲んだのが初めてで、今ではすっかりグレンオードのファンになりました。優しい味わいなのにしっかりとした個性があり、コスパもいい、こんなシングルモルトは他にはないのではないでしょうか?食後の一杯に最適ですよ。
シングルトンシリーズのご紹介
”最初の一口から喜びをもたらす、これは誰もが楽しむことができる スコッチ ウイスキー”
The Singleton of Glen Ord(ザ・シングルトン グレンオード)
ザ・シングルトン・オブ・ダフタウン (サンレイ) 40度 700ml
The Singleton of Glendullan (ザ・シングルトン グレンデュラン)
ザ・シングルトン・オブ・グレンデュラン リバティ 40度 1000ml