40ℓのコモンオーク新樽でウッドフィニッシュしたスウェディッシュウイスキー。
BOX(HIGH COAST)
クエルクス1
(クエルクスローバー)500ml 50.8%
備考 スウェーデンシングルモルト(ノンピーテッド)。200ℓの1stフィルバーボン樽で4年1ヶ月熟成後、40ℓのコモンオーク新樽で7ヶ月のウッドフィニッシュが施されている。熟成後のアルコール度数は55度。加水調整により50.8%でボトリング(8,229本)。容量は500ml、ノンチルノンカラー。
香 ナツメグ、黒コショウ、削り出しの木材、バニラクリーム、カラメル
味 苦味、酸味を伴ったウッディネスがファーストの印象。チリやナツメグのような深みのあるスパイスが広がる。甘さとスパイスの均等なバランスがあり、そこに真新しい木材のフレイバーが重なる。タイトルどおり木材ニュアンスが強く表現されたシングルモルトとなっている。7ヶ月の後熟にしてコモンオークの存在感をしっかりと感じることが出来る一本。
数年前に静岡蒸留所(ガイアフロー社)を見学で訪れたとき、蒸留所2階のビジターセンターで出会ったBOX。今は「ハイコースト」へと蒸留所名は変更されているので少しややこしいが、当時ガイアフローとのダブルネームで限定販売されていたものを2本購入した。実際に飲んでみるとこれがめちゃくちゃ美味かった。上質なウッドフレイバーがあり、スウェーデンのシングルモルトに興味を持った瞬間だった。蒸留所名の変更については、同じ「BOX」の付いたボトラーズ・コンパスボックス社が関係しており、シンプルでインパクトのあるロゴが好きだったので残念な気もする。ハイコーストのウイスキーは以前このブログでも紹介したことがあり、日本市場では4種類かな?リリースされているので、興味があれば過去の記事も参考にして欲しい。
クエルクスローバーとはオーク(楢)の一種で、スカンジナビア半島に広く自生しており、フランスはブルゴーニュ地方・リムーザン地方におけるワイン・コニャック造りで熟成に使用される樽材としても一般的だ。コモンオークやリムーザンオークとも呼ばれ、特徴としてはタンニンやポリフェノールが多くバリニン(バニラ様)・オークラクトン(ココナッツ様)が比較的少ない。熟成では甘味とスパイスの表現が顕著となるようだ。
確かにBOXは他のウイスキーにはない独特な風味がある。スウェーデンの風土、そしてスウェーデン産のコモンオークを使い、40ℓの小さな新樽でスピード熟成をかけることでキャラクターを育てている。ウッド感の強弱は好き嫌いが分かれるところだと思うが、ウイスキーファンなら経験する価値は十分にあるシングルモルトだ。今では希少となったBOXボトルだけにじっくり味わいたいと思う。