キルケラン ピート・イン・プログレスNo.1

キャンベルタウン・グレンガイル蒸留所はスプリングバンク蒸留所から徒歩10分ほどのところにある。この蒸留所の創業は1872年と古く、ウィリアム・ミッチェルという人によって建てられたものだ。このウィリアムさんにはジョンという兄がいて彼はスプリングバンク蒸留所の経営者だった。ウィリアムさんがグレンガイルを建てたのもそもそも兄弟喧嘩が原因だったそうだが袂を分かつにしても近すぎる微妙な距離感に親しみを感じるのは俺だけか。そんなグレンガイル蒸留所も戦後の経済不況などの影響で1925年に閉鎖しストック樽もすべて売却。建物は地元のライフル協会にリースされ、射撃場や農業組合の倉庫兼ショップとして利用されていたという。兄弟喧嘩のなれの果て、その後の兄弟のことは今度また調べたい。

2000年、実に75年ぶりのグレンガイル蒸留所復活を決めたヘドレー・ライト氏。彼はスプリングバンク蒸留所の現経営者で、グレンガイルを創業したウィリアムさんの3代目の甥にあたる人物だ。キャンベルタウンに新しい蒸留所が建設されたのは実に125年ぶり、モルトミル(紛砕機)はクライゲラキ蒸留所から、そしてポットスチルはベンウィヴィス蒸留所のいわゆる中古品が移設され、その他設備は新品が導入されたそうだ。

今回はグレンガイル唯一のフラッグシップボトルである「キルケラン」に新たなリリースがありました。前回のキルケラン・ワーク・イン・プログレスシリーズは12年物を最後に完結しましたが今回はへビリーピーテッドタイプの「キルケラン・ピート・イン・プログレスシリーズ」となって第一弾が登場。バンクボトルに変更されているのも特徴です。


KILKERRAN PEAT IN PROGRESS NO.1

前回のワーク・イン・プログレスシリ―ズのフェノール値は約8ppm。それに対し今回のピート・イン・プログレスシリーズは約84ppmとヘビリ―ピテッドタイプとなっている。

 明るいアンバー

 ミルキーなニューポッド、黒糖、バニラ、キャラメル、麦芽、潮風、ドライパイナップル、木苺、腐葉土、ピート

 甘酸っぱさとピートスモークが一気に広がり、塩味を伴ったスパイスが鼻に抜ける。土っぽいピートのニュアンスに、ほろ苦く華やかな紅茶のような風味が重なって余韻となる。少しの加水でより塩味とピートが際立ってくる。

 ピート・イン・プログレスと銘打たれたこのキルケラン・ピーテッド成長シリーズ。第一弾でまずまずの完成度に次のリリースが楽しみになった。モルトの香水と呼ばれる華やかなスプリングバンク蒸留所でフロアモルティングされた大麦麦芽に、しっかりとピートが炊き込まれカスクストレングスでボトリング。パワフルかつコクのあるオイリーな酒質はバンクファンを喜ばせる味わいに仕上がってます。数量限定なので入手は困難であり定価での購入はもう難しいと思いますが、前回のワーク・イン・プログレスはまだ買えるので8年のカスクストレングスと12年の完結ボトルを今もチビチビ飲んでいます。

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