先月26日にリリースされたイチローズモルト505 モルト&グレーン(ワールドブレンデッド)これは埼玉県秩父市にある秩父蒸留所からリリースされた飲食店専用ボトルで一般販売はされていません。
新型コロナウイルスにより苦境にあるバーや居酒屋など飲食店のためにリリースされた応援ボトルということで早速私も購入しました。調べてみると505という数字は「SOS」に見えるとか見えないとか。度数が50.5%なのでここから取られたんだと思うけど、ブレンデッドでわざわざこの中途半端な度数設定にするということは、やはりそういうことなのかな¿?ラベルのシルバーも除菌・抗菌効果のある銀イオン(Ag)をイメージとしたものという声もあるようだけどその辺もどうなのかは不明です。
しかしイチローズモルトの人気には目を見張るものがあります。創業者である肥土伊知郎さんのウイスキーに対する情熱は今や海を越えて多くのモルトドリンカーへ届いています。肥土さん曰く、モルトメーカーの最大のリスクマネジメントは「美味いウイスキーを作ること」だと言っていましたが、僕もその通りだと思います。どんなに言葉でもって飾り付けようともその真価は「味」以外にはありません。モルトマニアはそこに納得しているのです。
しかしこういった応援ボトルがリリースされることは嬉しいし、業界にとっても有難いですね。一般販売はされていないこともあって、オークションサイトを覗くと販売直後であるにもかかわらず約3倍の値段で転売する人も…。一方、期限付きの酒類小売業免許を申請したBARなどでは、こういったウイスキーを小瓶に詰めて販売するスタイルが定着しつつあるように思います。これからのBARやラウンジ、スナックなどの在り方を考えるうえで、お酒のテイクアウトやリモート、オンラインサロンなどを活用し今までとは少し違ったキャッシュポイントを設定していくことは大切なことだと思います。お客さんを喜ばせるための新しいサービスのかたちを生み出す努力が必要です。しかし五感をフルに使ったコミュニケ―ションでしか味わえないものがBARにはあります。その価値はオフラインにこそあり、人と人を遠ざけてしまうコロナウイルスは本当に恐ろしいものです。話がそれましたw
ワールドブレンデッド(WB)とはスコットランド、アイルランド、アメリカ、カナダ、日本の「世界五大ウイスキー」がブレンドされたものです。イチローズモルトのモルト&グレーンシリーズはこのWBです。3000円代で買えるホワイトラベルからブルーラベル(リミテッドエディション)があり、今回仲間入りしたシルバーラベル505は、一般販売こそされないものの限定品ではなく通年商品としてリリースされるようです。お近くの飲食店でこのボトルを見かけたらぜひ味わってみてはどうでしょう。
Ichiros Malt&Grain
World Blended Whisky 505 50.5%
ブレンドに関しての詳細が欲しいとこですがそれはありません。モルト比率が他のボトルより高く設定されていることくらいしか分かっていません。
※今回から色は外します。
香 バーボンとグレーンウイスキーのニュアンス、ミント、清々しいフルーツ、柑橘の皮、複合的な樽香
味 柑橘の果肉とパン、埃っぽい古書のような樽のフレーバー、バーボンの甘味とグレーン特有のスパイス。バランスがいいというよりは個々のキャラクターが行ったり来たする感じ。飲み進めるほどに違った味わいを見つけることができる面白さがあります。
感 フルーティーで複雑なブレンデッド。ファーストのしっかりとした酒質の感じから余韻はそこまでなく、さっぱりとしたフィニッシュが印象的でした。ブレンデッドは各メーカーのチーフブレンダーによって数十種類の原酒から調合され、比較的飲みやすさとか、飲み飽きなさとか、毎日でも続けて飲めるデイリーウイスキータイプに寄っていく傾向があるように思いますが、この505は限られた原酒で行うブレンデッドゆえの複雑さが魅力です。いろんな表情を楽しめる、ある意味飽きの来ない一本ではないでしょうか。