ウイスキーバイブル2017で最高のバーボンと称されたローン・スター・ステイト・バーボン。
GARRISON BROTHERS
SINGLE BARREL 47%( 2012蒸留)
香 インクやニス、プラバルーンなどを思わせるオイル、どっしりと重厚なウッディネスがあります。そしてフルーツタルト、バニラ、シリアルの甘い香り、高級煙草、ハーブティー、紅茶のビターなクセのあるアロマが重なります。
味 まろやかで飲みやすく、オークエキスと優しいスパイスが口に広がる。インクとフルーツのフレイバー。ほろ苦くドライな印象もありミルキーさも顔をのぞかせる。中盤にかけて厚みが出てフルボディへと変化。カカオやアーモンドのような香ばしいナッツが加わり余韻となって続く。松ヤニやニスを思わせるアロマにミルキーなニュアンスがなんとも不思議。飲み進めるにつれ酸味も出現し更に複雑味を増してゆく、多彩なコンテンツをもつ上質なバーボン。
ギャリソンブラザーズはテキサス州・ブランコ郡西部・ヘイで2006年設立。現在ではアメリカほぼ全州で販売される人気の蒸留所です。今回テイスティングしたギャリソン・ブラザーズ・シングルバレルは、ダラム郡(同州)で2011年に収穫したパンハンドル・ホワイトコーンを*ヒル郡(同州)の雨水で仕込み、テキサスの暑い夏に耐えれるように改良されたオーク樽で3年以上熟成されたものだ。樽単体の個性を味わえるシングルバレルでのボトリング。
*ヒル郡はテキサス中央にあり、総面積の約24%が水域という石灰岩性の丘陵地帯。
一つ星が目を引くボトルデザインは、もともと独立国だったテキサスが条約によってアメリカに併合(1845)し、合衆国で唯一独立する権利を今でもキープしているローン・スター・ステイトだからなのだろう。GDPでも1兆9000万ドルとカリフォルニアに続いて全米第2位(2021)、州旗を合衆国旗と同じ高さに掲げることが出来る特権を持つ巨大な州なのだ。因みにテキサスとは友人・仲間という先住民のことばに由来する。
ボトルの側面にはコーン品種、収穫年、農場名、蒸留年、樽番号、度数、熟成年数など詳細が記載されている。こういう配慮は飲み手側としては嬉しい。地元で調達されたものだけで造るギャリソンブラザーズからはウイスキー造りに対する情熱と信頼性をダイレクトに感じる。バーボンは普段ほとんど飲まない私ですが、近年のアメリカンウイスキーには注目すべき点が多くあり面白い、シアトルのシングルモルトもその一つで、アメリカ=バーボンとう単純な認識ではもう古い気がする。スコッチと同様に奥深く魅力的であることは間違いなく、アメリカンをもっと知るべきではないか、あらゆる最先端の試みがそこでは行われていることをもっと知らなければいけない。ギャリソンブラザーズ。これは凄いバーボンだと思う。