ウイスキー
ウイスキーについてみなさんはどの様なイメージをお持ちですか?アルコール度数の高いお酒とか、バーで飲む大人の酒などでしょうか?まだ飲んだことのない方にはウイスキーは何やら難しいお酒という壁があると思います。私も最初はウイスキーの美味しさは、はっきり言って分かりませんでした。
テレビや映画のワンシーンなどで、ウイスキーを美味しそうに飲んでいるのを観ると、なんだかカッコいいなと思っていました。そんなウイスキー、一体どのようにして作られているんだろう?なぜこんな味がするんだろう?シングルモルトとかブレンデッドとは何だろう?その一つ一つが謎でした。
ある日、私はウイスキーの本で読んだ一節に「アクワイアード テイスト」という言葉を見つけました。それは「習得した味覚」という意味で、簡単に言うとウイスキーは多くの知識・経験でさらに美味しくなるという事が書いてありました。子供の頃はコーヒーやワサビ・辛いカレーなど食べれませんでしたよね、でも大人になるとブラックコーヒーが美味しくなり、お刺身や・蕎麦にはワサビが欲しくなります、先天的に身についている味覚は、苦味や辛味は毒とみなすため必然的に避けてしまうようです。ウイスキーの味も同様で、美味しいと感じるには、ある程度の学習や経験という後天的味覚が必要となります。まさに大人の味です。
ウイスキーは知識・経験がある程度蓄積されることによって美味しく感じる不思議な臨界点があるのです。それは他のお酒にも言える事ですが、ウイスキーほど奥深く、しかも親しみやすくなるお酒はないのではないでしょうか。
「ウイスキーはどうも苦手だから」という方に多く見られるのが、いきなりストレートで飲んだり、かなり個性的なタイプのものから始めてしまったということを聞きます。ウイスキーに対し「私にはどうも合わないな」といった、拒絶感や苦手意識が芽生えてしまい、それからは飲まなくなることが多いようです。
最初はあまり無理をせず水割りやハイボールから始め、ウイスキーの美味しい臨界点を感じてほしいと思います。このページではウイスキーとは何か、どうやって作るのかを簡単に説明していきたいと思いますので、最後まで読んでもらえると嬉しいです。
知れば知るほど美味しくなるウイスキーの世界への第一歩となれば幸いです。
issan
誰でも分かる!ウイスキーって何?
世界5大ウイスキー
ウイスキーは世界中に多くのファンをもつ人気の蒸留酒。そんなウイスキーを生産している代表的な国と言えば
アイルランド (アイリッシュウイスキー)
スコットランド (スコッチウイスキー)
アメリカ (バーボン・テネシーウイスキー)
カナダ (カナディアンウイスキー)
日本 (ジャパニーズウイスキー)
この5カ国を世界5大ウイスキーと呼んでいます。日本も今では立派なウイスキーの生産国の一つです。(その他の様々な国でもウイスキーは生産されています)世界中に多くのファンを持つウイスキーとは一体どんなお酒なのでしょうか?スコッチ(スコットランド)のモルトウイスキーを例に説明してみたいと思います。
とってもシンプルなウイスキー
「水・穀物・酵母」
ウイスキーの原材料はこれだけです。
たったこれだけの材料が職人たちの熟練の技術によって、琥珀色の香り高いウイスキーとなります。
中でも水はウイスキー作りに大きく関わる大切な材料の一つで、蒸留所が水資源の豊かな場所に建てられるのもそのためです。
軟水か硬水か、さらに細かく言うとミネラルの成分バランスはどうなのか、その土地の水が持つ特徴によってウイスキーの味も異なります。スコッチウイスキーの名前によくある「グレン〇〇」のグレンとは、「渓谷」とか「谷間」という意味で、仕込み水として使用する川名を表し、そのまま蒸留所に付けられていたりします。そのほか土地名や立地などを表す名前が多くつけられています。日本ではサントリーの山崎や白州そしてニッカウヰスキーの余市や宮城峡などもそうですね。
ウイスキーはその地域の豊かな風土が作る酒と言っても過言ではありません。
ウイスキーの作り方
ウイスキー作りに必要な原料となる代表的な穀物は大麦で、スコットランドのシングルモルトウイスキーはすべて大麦から作られています。アメリカのバーボンウイスキーやテネシーウイスキーはトウモロコシを主原料として作られ、その他の原料はライ麦や小麦などがありグレーンウイスキーをつくる原料となっています。ここでは大麦を原料に作るモルトウイスキーの製造工程を簡単に見ていきましょう。
製麦(せいばく)
蒸留所独自の仕込み水によって、先ずは大麦を発芽させるところからウイスキー作りは始まります。発芽によって麦芽内にデンプン分解酵素が活性化していきます。そして麦芽内に十分な酵素が生じたタイミングを見計らって乾燥させます。この乾燥させた麦芽のことをモルトと呼び、大麦⇒モルトへと変化させる作業が製麦の行程となります。
糖化
たっぷりと酵素とデンプン(糖)を蓄えたモルトを粉砕し、約65℃程度のお湯と混ぜ合わせていきます。混ぜ合わせる際に使用する大きな器をマッシュタンと呼び、素材は銅やステンレスで出来ています。この作業でモルトから甘い麦汁(糖液)を抽出します。この時点で麦汁中では酵素がデンプンを分解し、発酵に適した状態へと変化させます。(モルト⇒麦汁)
発酵
糖からアルコールへ、神秘的な作業の始まりです。糖化の工程で作られた麦汁にイースト菌を加えると、菌が糖を食べ、アルコールと炭酸ガスに分解します、そしてアルコール度数8%前後の醸造液が出来上がるのです。(麦汁⇒醸造液)
この作業はウォッシュバックと呼ばれる巨大な桶で行われ、出来た醸造液(モロミ)のことをウォッシュと呼びます。
蒸留
銅製のポットスチルと呼ばれる釜へウォッシュ(モロミ)を入れ蒸留を行います。ポットスチルにも蒸留所によって様々な形状があり、この差異がウイスキーのキャラクターに大きく寄与していると言われています。
ウイスキー蒸留のメカニズムですが、アルコールは水と違い78.3度で沸騰します、この沸点の違いを利用し、先に気化したアルコール分を取り出すと言うものです。この蒸留作業は通常2回行われ、1回目の蒸留で抽出されたアルコール度数は20%程度、2回目で度数70%にもなります。(醸造液⇒蒸留酒)
樽詰め・熟成
2回の蒸留で出来上がった無色透明の蒸留酒はニューポットと呼ばれ、これから樽の中で長い眠りにつくことになります。樽に詰められる際、ニューポットは仕込み水でアルコール度数63%前後に薄められるようです、その理由は、樽との相性が良くなり樽熟成に最も適している度数なのだそうです。
そして5年・10年・15年と長い眠りつく事で、香り高く美しい琥珀色の液体へと変化して行くのです。樽にもシェリー樽やバーボン樽などがあり、樽材から溶出する成分が酒質に大きく影響します。(蒸留酒⇒樽熟成)
瓶詰め
熟成を終えたウイスキーは、樽から出されると全て集められます。それはひとつひとつ樽によって異なる熟成をしているためです。蒸留所のもつブランド用に味を均一化し調整するための混合が行われ、さらに加水しアルコール度数を40%から43%に落として瓶詰めされます。(加水しない樽のままの度数でボトリングするカスクストレングスなどもあります)
こうして長い眠りから目覚めた蒸留液は、芳醇な琥珀色の液体に変化し、ウイスキーとして生まれ変わるのです。
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。ウイスキーとか何か、ということについて細かいことは省き、シンプルに説明させてもらいました。これからウイスキーを始めたいという方に、少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。私にとって、家族や仲間との愉快な集いや、休日のリラックスタイムにウイスキーは欠かせないアイテムとなっています。これからも限られた銘柄ではなく、いろんなタイプのウイスキーをもっと愉しみたいと思っています。