特級 サントリーローヤル「60表記ラベル」

「男はグラスの中に 自分だけの小説を書くことが出来る」ローヤルの昔のCMに出てくる渋いセリフ。生活必需品ではないウイスキー、それは嗜好品だけに、人の夢や憧れがたっぷりと詰まっっているんだろう。

サントリーの創業者 鳥井信次郎

1960年 寿屋の創業60周年を記念してリリースされたサントリーローヤルは、創業者である鳥井信次郎(1879-1962 )の最後で最高の名作。「酒」という漢字のつくりの部分を模したボトルデザインも日本人なら誰もが目にしたことがあるのではないでしょうか。

彼がこの世を去る1962年は、級別課税制度の改正により「雑酒」から「ウイスキー」へと独立した年でもあります。つまり62年まではウイスキーという品目は日本にはなく、日本酒や焼酎ではない雑酒としての扱いだったということです。

少しだけその辺りを紐解いてみると、

現在の酒税における原型が整えられたのは1940年。昭和15年のこと。それから3年後の’43年、級別課税制度が導入され「3級・2級・1級」と本格ウイスキーの混和率によってランク分けされました。

当時、日本におけるウイスキー販売の現場では、2つの酒税が課せられていたのです。

  1. 原酒の量によって税金を定める従量税
  2. 価格によって税金を定める従価税

これはつまり2重課税であり、当時のウイスキー価格が今よりも高かった原因のひとつでもありました。例として49年の級別区分を見てみると次のように決められています。

  • 1級…43度以上・本格ウイスキー混和率30%以上
  • 2級…40度以上・本格ウイスキー混和率5%以上
  • 3級…40度以上・1級2級に該当しないもの

「ランクに応じて税金を徴収する日本独自のシステム 」これが従量税にあたります。そして取引価格を基準にして税率が定められた従価税がさらに重り、ウイスキーは高価な代物でありました。

当時よく売れたのはやはり低価格の3級。しかし各メーカーが知恵を絞り様々なマーケティングやウイスキー戦略が功を奏し、50年代には国内のウイスキー消費は劇的に伸びていきます。人々の嗜好は更に上質なウイスキーを求め変化していったのです。 この時代は、戦後の混乱期から脱出し、原材料の調達や価格設定の自由度が増してきた頃です。 ’53年には「3級」がなくなり「2級・1級・特級」といったランク分けに改正。

そして級別課税制度が廃止となる1989年までも何度か内容は変更されています。「ウイスキー特級」という表示があれば1962年~1989年のあいだで国内流通したジャパニーズオールドボトルです。

制度廃止前の78年の級別区分はこうでした。(従量税)

  • 特級…43度以上・混和率30%以上
  • 1級…40度以上・混和率20%以上
  • 2級…特級・1級に該当しないもの・混和率10%以上

これら従量税と従価税は諸外国から日本市場開放のための圧力を受けながら、多くの調整をもって続けられ、1989年4月1日の酒税法改正により、現在のアルコール度数によって税金を定める形式に変更されます。

今回のボトルですが、推測される流通時期は1970年代後半から80年代前半と思われます。ローヤルはサントリーウイスキーシリーズの最高峰としてリリースされ、主に富裕層や高級ギフト向けの商品、役員クラスにならないと飲めないようなお酒だったそうです。「いつかあのローヤルをっ!」て がむしゃらに働いた人たちも多かったんじゃないでしょうか? ラベルデザインは60年の発売初期「’60」から80年代までの「60」80~90年代にかけての「SR」それ以降の「12年」「15年」といった感じで幾度となく改められています。


サントリーローヤル60 特級表記 43%

  林檎、ニッキ飴、樽のウッド感、その奥から蜂蜜の甘さが香立つ、 ベリー系の飴のような

  口に含むとシロップのような甘さが広がり、レーズン、カラメル、バナナ、トースト、酒質は軽めでロックなどにするとスルスル飲めてしまう印象。開封後5日くらいでは、少し水っぽくなったようなミネラリーな口当たりに変化。さらに飲みやすくなったように感じました。

 瓶詰めされて30年以上く経過してるものなので、最初は状態がどうなのか少し気にはなりましたが、実際に飲んでみるとこれが美味いんです‼  古酒ゆえの劣化(ヒネ香)は僕にはまだよく分かりませんが、どこか埃っぽくも優しい甘さの心地よい味わいがあり、現行との違いを見つけるのは容易です。オールドスイスキー楽しみ方を学んだような気がします。でも後から気づいたことですが、コルクが痩せてしまっているので開封後はキュキュッと閉まりません。これは何か対策をしなければと思っています。

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